絵本だより

2022年10月『もぐもぐがじがじ』『わたしのマントはぼうしつき 』『おちばのねどこでおやすみなさい』『こうさぎとおちばおくりのうた』

1956年に『こどものとも』を創刊され、日本の絵本の歴史を語る時には欠かせない一人である福音館書店の松居直氏の、非常に共感する言葉をご紹介したいと思います。
「絵本というのは、わかるわからないではなく、一緒にいるということ、そしてともにことばを共有しているとか、気持ちが通い合うとか、そういう人間関係がとっても大切なんだと思ったんです。共に経験するということが子どもの育ちにとっては意味があるんじゃないか、絵本とはそういうものなんじゃないかというのを、わが子を通してわかるようになったんです。」(『私のことば体験』福音館書店より)
聞かせようとか何かを教えようとする気持ちをちょっとわきに置いて、「遊ぶ」感覚で絵本を楽しむのが一番だと私も思います。絵本とは「読み手と聴き手で楽しむ本」です。


★もぐもぐがじがじ(あかちゃんから)
 中野明美・文 大島妙子・絵 福音館書店

あみちゃんがあーん。ともくんがあーん。はなちゃんがあーん。みんなもぐもぐがじがじ、ごっくんと食べていきます。口を大きくあけて食べる姿は、幼い子の特徴をよく捉えていると思います。「もぐもぐぱくぱく」ではなく「もぐもぐがじがじ」という表現も野性的な生き物の本能を感じます。


★わたしのマントはぼうしつき(3才から)
 東直子・文 町田尚子・絵 岩崎書店

主人公のくまが、自分のマントをとっても気に入っていて大切にしている様子がうまく描かれています。場面ごとの状況や心情が美しく鮮やかな色で表現されているところも素敵です。馬と猫のお友達も登場しますがラストの絵にちょっとした驚きがあるファンタジー絵本です。


★おちばのねどこでおやすみなさい(4才から)
 カレン・ジェイムソン・文 マルク・ブタヴァン・絵
 石津ちひろ・訳 ほるぷ出版

森にすむ動物たちに順番に「おやすみなさい」の挨拶をしていく女の子。動物たちはどんな場所でどんなふうに眠るのでしょうか。詩のように語られる言葉を聞いているうちに、こちらも眠くなってしまいそう。優しく落ち着いた声で読みたくなる絵本です。


★こうさぎとおちばおくりのうた(5才から)
 わたりむつこ・文 でくねいく・絵 のら書店

うさぎまちの秋祭りの日、4匹のこうさぎたちはお祭りの行列について行きました。秋の色に染まった山を見たこうさぎたちは、ぶなじいに会いたくなって…。子どもらしいちょっとした冒険と、心が温かくなるお話が魅力です。自然と関わることを忘れたくないと思いました。


♪絵本を真ん中に、親子の絆を育みましょう♪
えほん館 はなだむつこ)