絵本だより

2021年08月『ももんちゃんどこへいくのかな?』『ながしそうめん』『はらぺこしりとり おべんとうばこのなかから』『キラキラッとほしがかがやきました』

名作絵本『おしいれのぼうけん』の作者古田足日さんが、ある後輩の児童文学者から「私もいつか先生のような、ロングセラーを書きたいです」と言われたとき、「そんなことを考えてはいけません。その時代、その時代を生きている子どもたちに向けて書きなさい」とおっしゃったそうです。この言葉は多くの大人にも当てはまると思います。私自身もハッとしました。子どもに絵本を選ぶとき、その子の生きている環境や想いを何も考えず、世の中で良いと言われいる絵本を選ぶだけでは片手落ちのような気がします。まずは今のこの時代を生きている子どもに目を向けることが大切な出発点だと感じました。


ももんちゃんどこへいくのかな?(乳児から)
とよたかずひこ・作 童心社

人気シリーズの最新刊はももんちゃんがお友達を連れて出掛けるお話です。いきなり水の中に入ったから海へ行くのかな?と思いきや全然違いました。乗り物を乗り換えるたびにお友達が増えていき最後にたどり着いたのは…。何に乗ってどこへ行くのか考えながら読むと大人も楽しいですよ。


ながしそうめん(3才から)
ささきみお・作 すずき出版

タイトルそのままの流しそうめんの絵本ですが、流れてくるものが面白い。くまくんが流したのは大好物の「さけ」。かぶとむしさんが流したのは大好物の「すいか」。かっぱがちゃんが流したのは…。何を流そうともみんな、おはしとおつゆをちゃんと持っているのです。流しそうめんのスタイルを崩していないところがいいですね。人生で一度は体験したい流しそうめんです。


はらぺこしりとり おべんとうばこのなかから(4才から)
中川ひろたか・文 岡田よしたか・絵 世界文化社

楽しいしりとりの絵本です。お弁当箱の中から最初に飛び出してきたのは「ウィンナー」です。さてウィンナーの後から飛び出してきたのは何でしょう?
絶対当たるわけがないものが出てきて思わず「えーっ!」と声が出ます。でもちゃんと食べ物が続くのですよ。そして最後には…。ピョンピョンやスーイスイ等の言葉と共に体を動かしながら読んでも楽しいです。


キラキラッとほしがかがやきました(5才から)
宮西達也・作 ポプラ社

十分すぎるくらい大人の私が読んでも泣いてしまう絵本です。口では友達だと言いながらいざとなったら逃げていく仲間たち。友達を信じられなくなったティラノサウルスが本当の友達に出会う物語ですが、ラストは読者にゆだねられています。正解はありません。それぞれの子どもが感じたことを大切にしつつ希望へと導いてあげてもらいたいと思います。


♪絵本を真ん中に、親子の絆を育みましょう♪
えほん館 はなだむつこ)